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(むら)映画会 にあたって
邑の映画会 実行委員

会長 加 藤 一 枝
 
  子どもと共にいる私たち大人の感覚はどうなのか?目まぐるしい社会の動きの中で、見失いそうになる、掛け替えのない「時間」と「感覚」。もう一度、生きることの原点に立ち返ることの大切さを、意識する必要があると考えたからです。何の情報も無く、子どもたちがテレビやゲームなどの映像に浸りきりでいいのでしょうか?真っ白な心のスクリーンに、残虐な映像が飛び込んできて、記憶ともならない像が心を染めていきます。子の未来を思うと、何とか、人々が力を出し合い、見るものの奥深くに潜む不思議を、思い生きてきた地球の記憶を、子どもたちにとどけなければなりません。
  世界中には、文化や風土、民族の歴史を土壌として、人々の感覚に入り込む映像作品がたくさんあります。それらは、台詞からの説明的映像ではなく、一人ひとりの感覚で想像し、創造する、柔らかで深いものを持っている映像の力のあるものです。「泥の河」など日本の作品群、ロシア、韓国、イヌイット・・・たくさんの世界の時空を生きる映画作品。一つの画面に向かって皆で暗闇の中で見る。見ることにより確かに感覚は、拓かれてきます。ここまで生きてきた時間を持っていること、積もった記憶が一人ひとりにあるのです。ゆっくり、じっくり、他者のありようを見る、ということは、見ている自身に向き合うということでもあります。 子どもたちは、「見なかった子は、損したよな」と言うのです。子どもに映画をとどける。とどけようとする大人を含めて、邑楽の映像の取り組みは、そんな大切な時間の始まりのような気がしてなりません。
  私たちの映像活動は、ボランティアにより世界の優れた作品を選定し、小学校や保育園などでたくさんの映画の上映と、映画監督小栗康平氏の講演会を行ってきました。邑楽町では、19年度、群馬県義務教育課で実地された、映像教育推進事業の指定を受け、指定校であった中野東小学校では、子どもたちの自主的な取り組みによる映画上映会が行われるようになりました。そこに至るまでには、ボランティアのスタッフも加わり、さまざまな試みがなされ、映像そのもののもつ豊かさに気づけるように、五感をゆさぶり導いてきました。その感覚の拓きは、一緒に見ている子どもだけでなく、大人たちにも気づきを与え、地域全体に豊かに見る眼が育ってきています。
  邑の映画会実行委員会は、群馬県の「映像教育」の継承・発展を目指し、世界で製作された多様な映画作品の上映活動を行い、上映会を通して、子ども、大人たちが夢をふくらませ、映像によって心豊かな感性が育めることを願っています。子どもと大人が一緒になって、みんなで作って行こうとするものであり、多くの支援者に支えられるものであります。そして、このような映画上映会を各地で行い、活動していくものであります。

 実行委員会事務局令月庵
会長    加藤 一枝
   事務局長   高橋 正明
    
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